2026年3月8日(日)鑑賞 イオンシネマ岡崎(スクリーン4 I-8)
2026年2月27日(金)公開 / 上映時間:105分 / 製作:2026年(日本) / 配給:ブシロードムーブ
【監督】 白金
【キャスト】
 浅岡信治:成田凌 / 福島美波:沢尻エリカ / 高野医師:淵上泰史 / 浅岡明希:山谷花純 /
 氷川京子:赤間麻里子 / 葉山一樹:船ヶ山哲 / 井口しおり:鈴木志音 / 北斗国臣:DAIKI /
 南木:MIOKO / ナル・ナル:高山孟久
【あらすじ】
富山県の小さな町で、静かに慎ましく暮らしていた介護士の浅岡信治(成田凌)は、妻の明希(山谷花純)が地域のクリニックでワクチンを接種した翌朝に亡くなったことで、事態が一変する。死亡原因がワクチンにあると考えた彼は、妻の遺影を抱えて担当医師・高野(淵上泰史)を糾弾し、雨の日も風の日もクリニックの前に立って無言の抗議を続ける。そんな浅岡の存在に、上昇志向の強い地方紙の記者・福島美波(沢尻エリカ)が目を付け、「泣ける記事になる」と浅岡のことを記事にする。すると、またたく間にネット上で拡散され、浅岡は一躍時の人となり、「反ワクチンの象徴」として祭り上げられていく。SNSに取りつかれた浅岡は、民意を得たとばかりにクリニックの前でバッシングを繰り返し、日に日に行動をエスカレートさせていく。そして、彼のシンパが過激な陰謀論者となって殺害事件を起こしたことで、世間の狂騒はさらに過熱していく・・・
【感想】
コロナワクチンで死亡ということからSNSで祭り上げられていくというストーリーと、意外な結末があると聞いて観ておきたくなった映画です。家族は興味がなかったのでひとりで鑑賞してきました。

コロナワクチンで死亡ということから始まる物語ですが、その是非や社会的問題を扱っているわけではなく、それに絡んだ個々の人々の思惑やエゴを描き出している話でした。登場人物は観ていて感情移入できる人物はひとりもいなくて、すべての人が自己利益と承認欲求ばかりで相手に対する敬意や思いやりなどまったく感じられない人物ばかりでした。

きっかけとなるコロナワクチンで亡くなった信治の妻・明希も悲劇のヒロインではなく、嫌がる夫をSNSの話題として配信動画に登場させるような自己欲の高い女性です。信治も妻を思っての糾弾行動ではなく、自分の感情からの行動で優しさなど感じられません。新聞記者の美波は、自分の環境に不満を持ち、上昇志向のために取材相手を利用するという女性です。医師の高野は、最初は落ち度もないのに糾弾される悲劇の医師のように思われましたが、この医師も自分の主張のために患者不在のとんでもないことをしていたことがわかります。信治に寄って集まってくるネット配信者たちも、状況によって手のひらを反す主体性のない人々です。

とんでもない人物ばかりの映画で気持ちの良い感じの映画ではありませんでしたが、不快で胸糞悪いというほどではありませんでした。その理由はたぶん、その欲望や感情や行動は誰にでもありそうだと思ったからかもしれません。自分はこの人たちを不快に思う立場なのだろうか、そんなことを突きつけてきているような気がします。

信治が森の中で狐の嫁入りを見て、そこに妻の顔を見るというラストシーンは、それまでのリアルさから一気に不思議な世界に飛ばされたようで、意味をどう受け取るか難しいラストシーンでした。自然世界の中、ネット世界の中、自分が何を信じ、何を目にするか、そんな危うさの象徴なのかもしれません。

人を非難する、糾弾する、その行動の正義は正しいのか、誰かを傷つけないか、そういう怖さや危うさを訴える映画としては良い映画だったかなと思いました。
上記はあくまで私の主観です。あとで自分がその時にどう思ったかを忘れないための記録であり、作品の評価ではありません。
また、ネタバレの記述もありますので、ご注意ください。